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資源循環プロセス工学分野

   
 21世紀を迎え,これまでの資源消費型社会から資源循環型社会への転換は,世界的規模の課題とされています。再生産が可能な,無限の創造資源である“バイオマス資源”とりわけ,地球上に大量に存在している“木質系資源”の担う役割と可能性は非常に大きいものがあります。当研究室では,低質材や加工廃材などの木質系未利用資源・廃棄資源を対象として,製造→利用→廃棄といった一連の流れの中で,環境への負荷を,出来るだけ抑えた材料開発に関する教育研究を行なうとともに,低環境負荷資材である木質系資材に関する基礎的研究および木質系転換資材の新たな諸物性解明に関わる物性物理学的分野の教育研究を行っています。
 

分野スタッフ

分野スタッフ
 
教授 吉原 浩
 
准教授 吉延匡弘
 

研究内容

研究内容
 
木材および木質材料の力学特性評価法の検討および確立
 木材素材および合板や繊維板などの木質材料を適切に使用するためには,基礎的な力学特性を適切に評価する必要がありますが,現在広く採用されている力学特性評価法には課題を抱えているものが多く存在します。そこで,現在実施されている力学特性評価法の問題点を採り上げ,その解決法および新たな特性評価法の提案を行っています。具体的なテーマとして以下のようなものが挙げられます。
(1) 振動試験で測定した合板の面内せん断弾性係数の測定値におよぼす試験体形状の影響
(2) 振動試験で得られた繊維傾斜をもつ木材のせん断弾性係数の測定値の評価方法
(3) 振動試験で得られた繊維傾斜をもつ木材のヤング率の測定値におよぼす試験体形状の影響
(4) 振動試験で測定した合板の曲げヤング率および面外せん断弾性係数の測定法の検討
(5) 引張試験で測定した合板のポアソン比および面内せん断弾性係数におよぼす試験体形状の影響
(6) 非対称4点曲げ試験で測定した合板の面内せん断弾性係数の測定値におよぼす試験体形状の影響
(7) ねじり振動試験および静的ねじり試験による合板の面内せん断弾性係数の測定
(8) 振動試験で得られる木質系材料のヤング率およびせん断弾性係数の測定における解析方法の検討
(9) 3点曲げ試験および非対称4点曲げ試験によるMDFの層間せん断強さの測定
(10) 圧縮曲げ試験による木材および木質材料の曲げ特性の評価
(11) 改訂されたJIS Z2101法による木材および木質材料の静的曲げ試験の問題点について
(12) 主要な規格に標準化されている合板およびMDFの曲げ試験法の検討と得られた力学特性値の比較
(13) 木材の繊維方向の圧縮負荷における横ひずみの非線形挙動について
 
木材および木質材料の破壊力学特性評価法の検討および確立
 材料に鋭いき裂が存在すると,その強度的性質はき裂が存在しない材料と大きく異なることが知られています。こうした鋭いき裂をもつ材料の強度的性質の解析には線形破壊力学に基づく理論が有効ですが,線形破壊力学をそのまま適用して木材素材や木質材料の強度的性質を解析するのは多少困難が生じることがわかりました。そこで,木材や木質材料の破壊力学特性を適切に評価できる試験方法および評価方法の提案を行っています。具体的なテーマを以下に示します。
(1) 混合モード曲げ試験(MMB試験)による木材の破壊力学特性の評価
(2) き裂先端の非線形領域およびはりの回転とせん断変形を考慮した木材のモードIIの破壊力学特性の評価
(3) 片側切欠き試験体の曲げ試験(SENB試験)による木材およびMDFの破壊力学特性の評価
(4) 片側切欠き試験体の引張試験(SENT試験)による木材およびMDFの破壊力学特性の評価
(5) コンパクト試験体の引張試験(CT試験)による木材およびMDFの破壊力学特性の評価
(6) 片側切欠き試験体の非対称4点曲げ試験(AFSENB試験)による木材とMDFの破壊力学特性の解析
 
リグノセルロースのグラフト共重合による高機能化
 グラフト共重合は,基材となる高分子(幹ポリマー)へ別の高分子(枝ポリマー)を接ぎ木(グラフト)する複合化方法です。グラフト共重合によって,基材となる高分子の特性を大きく変えることなく枝ポリマーの特性を付与することができます。本研究室では,セルロースやリグニンなどの天然高分子を幹ポリマーに用い,これへビニル基を有する合成高分子を枝ポリマーとしてグラフト共重合し,機能性材料の開発を行っています。具体的な研究テーマの例を以下に示します。
・木材や竹材切削屑へのPMMA,PSt,PVAcなどのグラフト共重合
・シート状を有するセルロースグラフト共重合体系高吸水性材料の開発
・グラフト共重合によるセルロース系シートへの親水・親油性の付与
・切削屑およびシート状セルロース材料への使用済み発泡スチロール分解物のグラフト共重合
 
天然多糖類の酵素糖化によるエタノール生産
 デンプンやセルロースなどの天然多糖類を酸や酵素によって加水分解(糖化)し,その分解糖を酵母によって発酵させることによって,バイオエタノールが得られます。本研究室では,木質系廃棄物や食品加工残渣などに含まれるセルロースやヘミセルロースを基材に用い,効率的な酵素糖化およびエタノール生産に関する研究を行っています。具体的な研究テーマの例を以下に示します。
・過酸前処理によるリグノセルロース資源の酵素糖化の促進
・ボールミル処理によるリグノセルロース資源の酵素糖化の促進
・ピスタチオ(Pistacia vera)外殻中のセルロースおよびヘミセルロースの酵素加水分解
・バナナ(Musa sp.)廃外皮中のセルロースの酵素加水分解
・使用済み割り箸の酵素糖化基材としての適正評価
・新聞古紙の酵素糖化基材としての適正評価
・街路樹剪定枝葉の酵素糖化基材としての適性評価
・紙製飲料容器の酵素糖化に関する研究
・イネ籾殻の酵素糖化におよぼす脱シリカの影響に関する研究
 
リグノセルロース系残廃材およびその含有物質の利用
 木質系廃棄物や食品加工残渣などに含まれるセルロース,ヘミセルロースおよびリグニン(リグノセルロース)は高い反応性を有する天然高分子です。それらを単離・抽出した後に,あるいは内部に留めたままで利用する研究を行っています。具体的な研究テーマの例を以下に示します。
・アセチル化竹繊維の球状樹脂化
・食用殻果類廃外殻の強度特性
・ピスタチオ(Pistacia vera)外殻中のヘミセルロースの抽出
・クリ(Castanea sp.)廃外殻中のタンニンの抽出
・廃樹皮を用いた堆肥化可能な農園芸用カップの製造
 
環境保全および再資源化推進のための教育・啓発に関する取り組み
 環境問題に対して持続的に取り組んでいくためには,有効な技術を開発し導入していくと共に,環境に対する教育や啓発活動が重要となります。本研究室では,環境保全や再資源化推進のための教育・啓発に関する取り組みを行っています。具体的な研究テーマの例を以下に示します。
・島根県浜田市の林地における林地残材の資源化に関する意識調査
・使用済み割り箸の再資源化促進のための効率的回収システムに関する研究
・環境教育教材としてのカードゲームの製作 ―使用済み飲料水容器のリサイクル促進のためのゲーム―
・環境行動実践化のためのピクトグラムの創出
 
和紙の科学的評価
 和紙は,楮,三椏および雁皮などを原料とした靱皮繊維を用いて,手漉きや機械漉きによって製造されています。和紙は,構成する繊維が長いため,薄くても強靭かつ柔軟であり,耐久性に優れます。このような特性から,古くから日本書画・木版画用紙,卒業証書・免状用紙,障子・襖用紙,文具・工芸品素材などに用いられています。本研究室では,島根県松江市において伝統的な手法によって製造されている出雲民芸紙について,力学的特性や水分吸着特性などの科学的評価を行い,それらと使用感や風合いと関連性に関する研究を行っています。具体的な研究テーマの例を以下に示します。
・出雲民芸紙の科学的評価 ―力学的特性の評価―
・出雲民芸紙の科学的評価 ―水分特性の評価およびその改善―
 
その他
 環境および再資源化に関連して,以下の研究を行っています。
・ドライシャンプーの洗浄特性
・食品残渣の簡易コンポスト化における粉炭およびゼオライト粉末を用いた悪臭の抑制
・ボールミル処理による粉体の微細化および扁平化の挙動の追跡
 

教授 吉原浩 (Hiroshi YOSHIHARA)

教授 吉原浩 (Hiroshi YOSHIHARA)
 
-経歴-
1963年10月16日生(東京都出身)
1987年 3月 東京大学農学部林産学科卒業
1988年 7月 東京大学大学院農学系研究科林産学専攻修士課程中退
1988年 8月 東京大学農学部林産学科助手採用
1995年 1月 博士(農学)の学位(Analysis of the deformation and failure properties of
            wood by elastic-plastic theories: 弾塑性理論による木材の変形および強度に
            関する研究)取得(東京大学 第12044号)
1996年 4月 島根大学総合理工学部助教授採用
2007年 4月 島根大学総合理工学部准教授配置換
2012年 4月 島根大学大学院総合理工学研究科准教授配置換
2013年 4月 島根大学大学院総合理工学研究科教授採用 
            現在に至る
 
-所属学会-
日本木材学会,日本機械学会,日本材料学会,日本木材加工技術協会,日本実験力学会,ASTM International (USA),Society of Wood Science and Technology (USA),Forest Products Society (USA)
 
-受賞・表彰
1995年 1月 日本木材学会奨励賞(弾塑性理論による木材の変形および強度に関する研究)

2002年 1月 日本木材学会賞(非線形領域を含んだ木材の変形および強度に関する研究)

2009年 3月 Top 25 Hottest Articles in Engineering Fracture Mechanics: “Shear and crack tip deformation correction for the double cantilever beam and three-point end-notched flexure specimens for mode I and mode II fracture toughness measurement of wood” Elsevier.

2013年 3月 Outstanding Reviewer in “Applied Mathematical Modelling” Elsevier, March 2013.

2013年 4月 Top 25 Hottest Articles in Engineering Fracture Mechanics: “Initiation and propagation fracture toughness of solid wood under the mixed Mode I/II condition examined by mixed-mode bending test” Elsevier, April to June in 2013.

201310月 Outstanding Reviewer in “Industrial Crops and Products” Elsevier, October 2013.

2014年 2月 Top 20 Most Downloaded Articles in Holzforschung: “Comparison of results obtained by static 3- and 4-point bending and flexural vibration tests on solid wood, MDF, and 5-plywood” Walter de Gruyter, February 4, 2014.

2014年 7月 Outstanding Reviewer in “Composites Part A” Elsevier, July 2014.

 
 

准教授 吉延匡弘(Masahiro YOSHINOBU)

准教授 吉延匡弘(Masahiro YOSHINOBU)
 
―経歴―
1964年10月7日生(兵庫県出身)
1989年 3月 九州大学農学部林産学科卒業
1991年 3月 九州大学大学院農学研究科修士課程林産学専攻修了
1994年 3月 九州大学大学院農学研究科博士課程林産学専攻修了
1994年 3月 博士(農学)の学位(テーマ:Mechanisms of Swelling of the Super Water-
      Absorbents Derived from Cellulose Graft Copolymers)取得
      (九州大学農博甲593号)
1994年 4月 日本学術振興会特別研究員(PD)
1995年 4月 島根大学農学部助手
1995年10月 島根大学総合理工学部助手
1999年 4月 島根大学総合理工学部助教授
2007年 4月 島根大学総合理工学部准教授 現在に至る
 
―所属学会―
日本木材学会,繊維学会,高分子学会,セルロース学会,日本コンピュータ化学学会,日本木材加工技術協会
-研究分野(研究キーワード)-
セルロース リグノセルロース 高吸水性ポリマー  グラフト共重合 バイオマス変換(酵素糖化) 未利用材活用 廃材再資源化

最近5年間の研究業績

講義資料
 
 

院生

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学部生
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〒690-8504
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058907
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